DataSpiderデザインパターンβとは
ソフトウェア開発・設計・運用の現場でよく話題となる「デザインパターン」と呼ばれるものがあります。デザインパターンとは、過去に発生してきた多種多様な課題、およびそれに対する解決方法を分類して抽象化し、他の現場でも再利用できる形で一覧化したものです。デザインパターンを知ることにより、システム開発の担当者は、より効率的に課題に対する解決策を発見することができます。
「DataSpiderデザインパターンβ」は、このような「デザインパターン」をDataSpiderにおいても作成し、今後のDataSpiderを使用した開発・システム設計・運用に役立つものを作ろうとする試みです。
これにより、DataSpiderを用いたデータ連携システム開発の効率化に役立てていただくと共に、DataSpider技術者同士のコミュニケーションの円滑化、また既に稼働しているシステムのより良い改善等に役立つものになれば、と考えています。
DataSpiderのベンダーであるアプレッソは、2001年6月にDataSpider 1.0をリリースしてから十数年の間、DataSpider自体の開発はもちろん、多くのDataSpiderの開発・利用シーンを提案・支援してきた実績があります。そこでまずは、これまでの経験を下敷きに、叩き台として「DataSpider デザインパターン β」を提示しようと思います。
DataSpider デザインパターンの進め方
世の中に存在するデザインパターンには、例えばオブジェクト指向言語の設計に関するものや、Webシステムのアーキテクチャに関するもの、クラウド利用システムの運用に関するものなど、さまざまなレイヤーのものが存在します。
DataSpiderを使ったデータ連携システムの開発の中でも、さまざまなフェーズで何がベストプラクティスなのか悩むことがあると思います。例えば、Mapperの効率的な使用方法といったスクリプト開発の時点や、既存システムとDataSpiderをどう連繋させるかといったアーキテクチャのレイヤー、またテスト環境から本番環境への移行をどのように行うかという運用のフェーズなど、さまざまな場面においてデザインパターンを考えることができます。
DataSpider デザインパターンβ研究会では、まずは以下の3つの分類で、デザインパターンを考えていこうと思います。
1 スクリプト開発パターン
スクリプト開発時のパターンです。効率的に、高品質のスクリプトを作成するために、どのようなプラクティスが有効かということを考えます。
例:
・スクリプトを分割して再利用を促進するパターン
・大容量データ使用時のメモリ負荷を軽減するパターン
2 連携システム設計パターン
スクリプトを使って、外部のアプリケーションやDB、システムとどのようにデータ連携を行い、連携システムを設計していくかのパターンです。DataSpiderのトリガーの典型的な活用シーンや、ScriptRunnerやCLI Consoleなどのツールの活用方法のパターンをここで扱いたいと思います。
例:
・HTTPトリガーを使用したリアルタイムWeb連携パターン
・ScriptRunnerを使用したバッチ処理パターン
3 運用パターン
DataSpiderを実際のシステムに適用して運用する際、開発環境から本番環境に移行し、その後問題なく運用していくために、DataSpiderはさまざまな機能を用意しています。そのような機能を使って効率的に運用を行うためのパターンを考えます。
例:
本番移行時のパターン
エラー監視パターン
ただし、これらの分類は暫定的なものであり、デザインパターンを提示するにあたって、より良い分類方法があるかもしれません。それについては、このβバージョンを策定していきながら、検討していこうと思います。
また、1つ1つのパターンの中では、以下の項目でパターンを提示していく予定です。
1 課題
パターンによって解決しようとしている課題を表します。
2 解決方法
解決の方法を示します。
3 説明
具体的な使用方法を説明します。
4 メリット
このパターンを使うことによって享受できるメリットを説明します。
5 注意点
パターンを使用するにあたってデメリットや注意することがある場合、ここに示します。
6 関連事項
他のパターンと密接な関係を持っている場合や、参考ドキュメントがある場合など、関連する事項をここに記述します。
ご協力のお願い
「DataSpiderデザインパターン」の試みは、我々DSTNだけでは完成するものではありません。アプレッソはDataSpiderを提供するベンダーであり、実際にDataSpiderを使用して開発・設計・運用を行っていません。最終的なリリースバージョンとして完成させるためには、DataSpiderを使用している皆様のご協力が必要となります。
ぜひ、βバージョンに対するご意見・ご批判をいただき、DataSpiderを使用したシステム開発の虎の巻となるデザインパターンの完成にご協力いただければ、と思います。
ご意見は、DSTNのメール( <dstn@appresso.com>dstn@hulft.com(注:会社統合に伴いメールアドレスが変更されております))、もしくはDSTNのフォーラムまでお寄せください。